遺言書で相続トラブルを防ぐ|作成方法と注意点を弁護士が解説

  • 2025年5月7日
  • 2025年5月7日
  • 遺言

遺言書で相続トラブルを防ぐ|作成方法と注意点を弁護士が解説

遺言は、相続トラブルを防ぐためのもっとも確実な方法の一つです。しかし、遺言がなければ、財産の分け方をめぐって親族間で深刻な争いが起こることもあります。本記事では、遺言書の基本から法的な有効性、作成時の注意点、トラブル回避のためのポイントまで、弁護士の視点でわかりやすく解説します。

なぜ遺言書が必要なのか?

日本では、遺言書がない場合、「法定相続分」に基づいて財産が分けられます。しかし、法定相続は必ずしも被相続人(亡くなった人)の意向に沿った分割とは限らず、「本当は長男に家を継がせたかった」「内縁の配偶者にも財産を残したかった」といった意思が反映されません。

遺言書があると、以下のような効果があります:

  • 財産の分け方を指定できる
  • 特定の人に遺産を集中させられる
  • 家族間の争いを未然に防げる
  • 相続手続きが迅速かつ円滑になる

特に、不動産や株式など分割しにくい資産がある場合や、家族構成が複雑な場合(再婚・内縁関係・認知した子どもがいるなど)には、遺言書が不可欠といえるでしょう。

遺言書の種類とそれぞれの特徴

遺言書には主に次の3種類があります。

1. 自筆証書遺言

全文・日付・署名を本人の自筆で書く形式。2020年の法改正により、財産目録はパソコン作成や通帳コピーの添付でもOKになりました。

メリット:手軽・費用がかからない
デメリット:不備があると無効になる・改ざんリスク・家庭裁判所の「検認」が必要

2. 公正証書遺言

公証人役場で公証人が作成し、原本が保管される形式。もっとも確実で推奨される方法です。

メリット:法的に有効性が高く、安全性も◎・検認不要
デメリット:費用がかかる・証人が2名必要

3. 秘密証書遺言

本人が作成し、封をした状態で公証人役場に持ち込んで手続きする方法。

メリット:内容を秘密にできる
デメリット:検認が必要・形式不備で無効になるリスクが高い

実務的には、圧倒的に「公正証書遺言」がトラブル回避の観点で安心です。

遺言書に書けること・書くべきこと

遺言書では、以下のような内容を記載できます:

  • 相続人ごとの分配割合(誰に何を相続させるか)
  • 遺贈(相続人以外に財産を譲ること)
  • 遺言執行者の指定
  • 認知(婚外子などを正式に認知)
  • 未成年後見人の指定

また、法的効力はないものの「付言事項」として、遺族への感謝や思いを伝えることも可能です。これがあることで、相続人の納得感が増し、トラブルの抑止にもつながります。

よくある失敗例と注意点

遺言書に不備があった場合、法的に無効になってしまうことがあります。以下は典型的な失敗例です:

  • 自筆証書遺言で日付や署名が抜けていた
  • 不明瞭な財産の記載(例:「家」とだけ書いてある)
  • 特定の相続人の遺留分を侵害していた
  • 作成時に認知症等で意思能力がなかったと主張される

また、10年以上前に作成した遺言書が、家族構成や財産状況の変化に合っていないケースも多数あります。定期的な見直しが重要です。

弁護士に相談するメリットとは?

遺言書を自分で書くこともできますが、やはり弁護士に相談することで大きな安心があります。

弁護士に依頼すると:

  • 法的に有効な遺言内容をアドバイス
  • 遺留分トラブルを未然に回避
  • 公証人とのやりとりもスムーズに
  • 将来の紛争リスクを最小限にできる

遺言は「書けば終わり」ではなく、「書いてからが始まり」です。相続が「争続」にならないよう、早めに専門家と対策を講じましょう。

まとめ:遺言書は、家族への最後の手紙です

遺言は、財産の分け方を示すだけでなく、遺族が納得し安心して前に進むための「家族へのメッセージ」でもあります。

相続のトラブルは、ほんの小さな行き違いから起こります。しっかりとした遺言を準備しておくことで、「後悔しない相続」が実現できます。

当事務所では、相続に強い弁護士が、遺言書作成のご相談から執行サポートまで丁寧に対応します。
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